会報18号より 危険がいっぱい獣医さん 5~6

<ケース5>

実験動物じゃないぞっ

会報 VOL18. “ 危険がいっぱい獣医さん”参照


<ケース6>
Dr.Y氏による「アニマルケアワンポイントアドヴァイス」の危険

  月刊で発行されているタウン誌のなかにこんな獣医師のコメントを発見しました。

 『 4歳になる去勢済みのシャム猫が最近良く噛むようになった。どうも本人は愛情表現のつもりのようなのであまり強く叱ることも出来ず困っている。家の出入りは自由でストレスはないと思うが、どのようにしつければいいだろうか ?』との質問へのアドヴァイスとして、

 『十分なスペースがないと一部しかお応えできないが…』という前置きのあとで、

 『疾病が原因である場合は、その疾病を治してあげることが必要。また、去勢してあっても縄張り意識による行動かもしれないので矯正の補助作業として、水鉄砲か噴霧器を用意しておいて噛まれると同時に噴霧する。または空き缶にコインや小石を入れ、噛みつかれると同時にガラガラッという大きな音をさせてビックリさせる。』

 詳しくはかかりつけの先生にご相談下さいと結んでいましたが、確かに何年か前の専門書では、Y先生が書かれているように『水鉄砲・噴霧器…』対策が紹介されていますが(学窓社「犬・猫の問題行動ハンドブック」「犬と猫の行動学=問題行動の理論と実際」)、現在ではこのような“噛みつき行動”が『愛撫による攻撃』であれば、過度な愛撫を避け、撫でるなら短時間にとどめることや、『遊びによる攻撃』の場合は同じくらいの年頃の遊び相手をもう 1頭飼うことを推奨するというように変化してきています。

 物言わぬ動物たちの『心の問題』に、最近ではかなり光が当たってきていて年ごとにより深い研究の結果が発表されていますが、今回のこのような前時代的なアドヴァイスがもし大手を振ってまかり通るようだと、被害を受けるネコたちが多いのでないかと懸念されます。

 本に書かれていること、獣医師のアドヴァイスなど、いずれにしてもあまりに安易に疑うことなく鵜呑みにしてしまう危険というのが、もしかしたら最大の危険。

 どんなときにもまず猫の身になって考える習慣を是非オーナーの皆さんは身につけてください。最大の危険が『あなたの中にある』としたらこんな怖いことはないでしょう ? 


★☆★危険がいっぱい獣医さん ★☆★

 さて、患者の立場からいろいろな獣医師の危険についての投稿がありましたが、では、獣医師の立場に立ってみると、飼い主さんの方には危険はないでしょうか ?
いつも私たちの良きアドヴァイザーを務めてくださっている、U先生に獣医師の立場からご覧になった「危険がいっぱい、こんなオーナーさん」へのコメントをいただきましたのでご紹介します。


<From Vet>

“ウーン”いろんな獣医師がいますね。

 でも、自分の生活は二の次にしてひたすら動物たちのために日夜頑張っている獣医師もいることを忘れないでください。

 『危険がいっぱい』に投稿されているようなオーナーさんとは、今までほとんどお目にかかったことはありませんが、「嘘による危険」に気をつけてほしいですね。

 獣医師の質問には正直に応えていただくとより正確な診察が出来ると思いますが…
“嘘”を言っても後でかならずわかりますし、診断の妨げになって無駄な時間がかかってしまいます。動物たちの痛みや苦痛の時間が長引くことになるので、『こんなことを言ったら獣医師が気分を害するのでは…』などと遠慮されて『実は薬を飲ませなかったこと』を正直に言いそびれてしまったりしたことはありませんか ?

 猫ちゃんのために、勇気を出していつも正直に話してください。 

<From Tomonari>

良い獣医師を探し出すこと

 U先生に診ていただくようになってからは、何でも正直に話すようにしていますが、獣医師によっては、自分の責任転嫁をオーナーにする方がいて、怖かったですね。ガミガミガミガミ叱られて、泣きながら帰っていったオーナーさんの姿もありました。

やはり、何といっても、まず、私たちがしなければならないのは良い獣医師を探し出すことですね、その一語に尽きると思います。