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ノルゥエイジャンにおけるカラー「アンバー」に関して

  • 2013/06/18 04:12

TICAでは、5月17日~19日にかけて行われたボードミーティングで、アンバーとライトアンバーのカラーをUCDにくわえることが議決されました。
http://www.tica.org/members/meetings/spring_2013.pdf

(この議事録の一番最後に、議論と改正されるUCDが載っています。UCDの71.5のチャートにアンバーとライトアンバーが付け加えられ、最後の18ページ冒頭に、アンバーとライトアンバーのデスクリプションが載っています。)

「アグーチ」と「アンバー」の関係を、遺伝学に詳しいMarch さんからご説明いただきました。

アグーチとは
一本の毛にブラック(ユーメラニン)とレッド(フェオメラニン)のバンドが生じる現象をアグーチという。
これらの色素は色素細胞(メラノサイト)から供給される。
メラノサイトがユーメラニンを合成するかフェオメラニンを合成するかのスイッチの役割をしているのがメラノサイトの細胞膜に存在するメラノコルチン1受容体(MC1R)である。
色素細胞刺激ホルモンであるメラノコルチン1(MSH)がMC1Rに結合すると、MC1Rが活性化されてユーメラニンが合成される。しかし、アグーチ遺伝子により合成されるアグーチタンパク質が存在すると、アグーチタンパク質はMSHのMC1Rへの結合を阻害する。その結果メラノサイトはフェオメラニンを合成する。
これが交互に行われることにより毛にユーメラニンとフェオメラニンのバンドが現れる。これがアグーチである。
正常なアグーチタンパク質が合成されない変異(ノンアグーチ)では、ユーメラニンのみが合成され、バンドは現れない。これがノンアグーチである。
アンバーとは
イエネコで唯一みつかっているMC1Rの変異がノルウェージャンにみられる「アンバー」である。
この変異は1981年にノルウェーで生まれた"Klofterhagens Babuschka" という1匹の雌猫に由来するといわれる(この猫の3匹の娘がこの変異を受け継いだ)。MC1Rの機能が欠損し、シナモンまたはピンクがかった淡黄褐色となり、年齢とともに色が薄くなる現象。劣性遺伝で、アグーチ(またはノンアグーチ)遺伝子、ダイリュート遺伝子、タビー遺伝子、インヒビター遺伝子などと共存できる。
レッドの遺伝子が存在する場合にはレッドの遺伝子が上位に働く(トーティー系の場合には本来ブラックまたはブルーの部分のみにアンバーが現れる)。
現在、CFAではアンバー系のカラーはすべてAOVであるが、カラーの種類はスタンダードの3ページ目から4ページ目にかけて列挙されている。
http://www.cfa.org/Portals/0/documents/breeds/standards/norwegian.pdf

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