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6月1日から施行「動物取扱業における犬猫の飼養管理基準」(1)

  • 2021/07/04 16:12

 2020年から2021年はコロナ感染に伴い、今まで日常的に行っていた多くのことが規制されるようになり、キャットショーも開催が見送られ皆様とお目にかかることが出来なくなっています。今月末には東京でオリンピックが開催されますが、政府やオリンピック委員会がどのような対策で「安心、安全な」オリンピックを行うのか、一抹の不安と共に見守るしか出来ないことを心許なく思いながら、私たちブリーダーにとってはオリンピックよりも身近で深刻な「動物取扱業における犬猫の飼養管理基準」の規定が6月1日から施行されていますので環境省のサイトからの抜粋を以下に掲載いたします。

「動物取扱業における犬猫の飼養管理基準の解釈と運用指針

~守るべき基準のポイント~」

https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/r0305a.html

https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/r0305a/full.pdf

 

令和3年6月1日から施行される基準省令により具体化された新たな基準7つの項目について、

1.飼養施設の管理、飼養施設に備える設備の構造及び規模並びに当該設備の管理に関する事項
〈寝床や休息場所となるケージ〉

■運動スペース分離型飼養等(ケージ飼育等)を行う際のケージ等の基準

● 犬:タテ(体長の2倍以上)×ヨコ(体長の1.5倍以上)×高さ(体高の2倍以上)
● 猫:タテ(体長の2倍以上)×ヨコ(体長の1.5倍以上)×高さ(体高の3倍以上)、
 1つ以上の棚を設け2段以上の構造とする。

複数飼養する場合:各個体に対する上記の広さの合計面積と最も体高が高い個体に対 

する上記の高さを確保。

〈運動スペース〉

下記の一体型飼養等と同一以上の広さを有する面積を確保し、常時運動に利用可能な状態で維持管理する。

■運動スペース一体型飼養等(平飼い等)を行う際のケージ等の基準

● 犬:床面積(分離型ケージサイズの6倍以上)×高さ(体高の2倍以上)
 複数飼養する場合:床面積(分離型ケージサイズの3倍以上×頭数分)と最も体高が高い犬の体高の2倍以上を確保。

 ※床面積は、同時に飼養する犬のうち最も体長が長い犬の床面積の6倍以上が確保されていること。


猫:床面積(分離型ケージサイズの2倍以上)×高さ(体高の4倍以上)、2つ以上の棚を設け3段以上の構造とする。
 複数飼養する場合:床面積(分離型ケージサイズの面積以上×頭数分)と最も体高が高い猫の体高の4倍以上を確保。
 ※床面積は、同時に飼養する猫のうち最も体長が長い猫の床面積の2倍以上が確保されていること。

● 繁殖時:親子当たり上記の1頭分の面積を確保(親子以外の個体の同居は不可)。
■運動スペース一体型飼養等(平飼い等)を行う際のケージ等の基準


3.動物の飼養又は保管をする環境の管理に関する事項

飼養施設に温度計及び湿度計を備え付け、低温・高温により動物の健康に支障が生じるおそれがないように飼養環境を管理すること。
● 臭気により飼養環境又はその周辺の生活環境を損なわないよう、清潔を保つこと。

自然採光又は照明により、日長変化(昼夜の長さの季節変化)に応じて光環境を管理すること

4.動物の疾病等に係る措置に関する事項

1年以上継続して飼養又は保管を行う犬又は猫については、年1回以上の獣医師による健康診断を受けさせ、診断書を5年間保存すること。
● 繁殖の用に供する個体は、雌雄ともに繁殖の適否に関する診断を受けさせること。

5.動物の展示又は輸送の方法に関する事項

犬又は猫を長時間連続して展示する場合は、休息できる設備に自由に移動できる状態を確保。それが困難な場合は、
 展示時間が6時間を超えるごとに、その途中に展示を行わない時間を設けること。

飼養施設に輸送された犬又は猫については、輸送後2日間以上その状態(下痢、おう吐、四肢の麻痺等外形上明らかなものに限る)を目視によって観察すること。

6.動物を繁殖の用に供することができる回数、繁殖の用に供することができる動物の選定
 その他の動物の繁殖の方法に関する事項


犬:雌の生涯出産回数は6回まで、交配時の年齢は6歳以下、ただし、7歳に達した時点で生涯出産回数が6回未満であることを証明できる場合は、交配時の年齢は7歳以下とする。

猫:雌の交配時の年齢は6歳以下、ただし、7歳に達した時点で生涯出産回数が10回未満であることを証明できる場合は、交配時の年齢は7歳以下とする。

犬又は猫を繁殖させる場合には、必要に応じて獣医師等による診療を受けさせ、又は助言を受けること。

帝王切開を行う場合は、獣医師に行わせるとともに、出生証明書並びに母体の状態及び今後の繁殖の適否に関する診断書の交付を受け、5年間保存すること。

犬又は猫を繁殖させる場合には、前述の健康診断、上記の帝王切開の診断その他の診断結果に従うとともに、繁殖に適さない犬又は猫の繁殖をさせないこと

7.その他動物の愛護及び適正な飼養に関し必要な事項
● 犬又は猫を飼養又は保管する場合には、以下のいずれかの状態にしないこと。
?被毛に糞尿等が固着した状態
?体表が毛玉で覆われた状態
?爪が異常に伸びている状態
?健康及び安全が損なわれるおそれのある状態
● 犬又は猫を飼養又は保管する場合には、清潔な給水を常時確保すること。

運動スペース分離型飼養等を行う場合、犬又は猫を1日3時間以上運動スペース内で自由に運動できる状態に置くこと。

犬又は猫を飼養又は保管する場合には、散歩、遊具を用いた活動等を通じて、犬又は猫との触れ合いを毎日行うこと。

4 行政指導・行政処分について
1.行政指導と行政処分
 動物の愛護及び管理に関する法律(以下、「法」という。)には、動物取扱業者に対して、動物の適正な取扱いを行うために必要な措置をとるための様々な行政指導及び行政処分の規定が用意されている。
 同法の規定に基づかない任意の行政指導は、迅速かつ柔軟な対応が可能という意味で効果的な場合があるが、相手方がこれに従わない場合には法に係る法的効果を生ずることはない。このため、基準を遵守していない不適切な事業者に対しては、法第23条の規定に基づく勧告を速やかに行うことが重要である。ただし、勧告はあくまで行政指導であり行政処分には当たらないため、行政指導に従わないことを持って、直ちに登録の取消しや罰則の適用対象になるものではない。
 動物の健康や安全を確保し、周辺の生活環境を保全するといった法の目的に照らせば、比例原則(違反の態様や悪質性の高さに応じて、各種の権限を適切に使い分けること)の遵守に留意しつつ、基準を満たさない不適切な状態を放置することなく、速やかに改善させること、改善する意思がないような悪質な事業者に対しては、勧告、措置命令、業務の停止、登録の取消し、刑事告発といった手段を効果的に用いた厳格な対応を行うことが必要となる。
 このほか、虐待のおそれがある場合や虐待行為に対しては、広く法第25条の規定に基づく指導、助言、勧告、命令、立入検査、報告徴収の規定及び法第44条の直罰規定に基づく虐待等罪が適用される場合もあることから、飼養管理の実態を踏まえてこれらの規定を効果的に活用することが重要である。

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